書誌情報

自動車の社会的費用・再考

上岡直見[著]
四六判上製/276頁/2700円
ISBN978-4-8461-2208-9 C0036
★在庫あり

 クルマ社会の負の側面を指摘し警鐘を鳴らしたのは宇沢弘文の『自動車の社会的費用』(1974年)であった。宇沢は、自動車の所有者・使用者が負担すべき費用を負担せず、外部に転嫁していることが無秩序な自動車依存が拡大する理由であるとして、その額は自動車1 台あたり年額で約200万円に及ぶことを示した。しかしその後も自動車と道路の増加は止まらなかった。その行き着く先として80歳を過ぎても自動車を運転しなければ日常生活も困難となるクルマ社会が形成された。
 宇沢の論考から半世紀が経過したいま、改めて宇沢ほか先人の指摘を振り返るとともに、自動車に依存した社会の転換について改めて現状を反映して考える。(2022.4)


[著者略歴]
上岡直見(かみおか なおみ)
1953年 東京都生まれ
環境経済研究所 代表
1977年 早稲田大学大学院修士課程修了
技術士(化学部門)
1977年〜2000年 化学プラントの設計・安全性評価に従事
2002年より法政大学非常勤講師(環境政策)
著書
『乗客の書いた交通論』(北斗出版、1994年)、『クルマの不経済学』(北斗出版、1996年)、『地球はクルマに耐えられるか』(北斗出版、2000年)、『自動車にいくらかかっているか』(コモンズ、2002年)、『持続可能な交通へ─シナリオ・政策・運動』(緑風出版、2003年)、『市民のための道路学』(緑風出版、2004年)、『脱・道路の時代』(コモンズ、2007年)、『道草のできるまちづくり(仙田満・上岡直見編)』(学芸出版社、2009年)、『高速無料化が日本を壊す』(コモンズ、2010年)、『脱原発の市民戦略(共著)』(緑風出版、2012年)、『原発避難計画の検証』(合同出版、2014年)、『走る原発、エコカー─危ない水素社会』(コモンズ、2015年)、『鉄道は誰のものか』(緑風出版、2016 年)、『JR に未来はあるか』(同、2017年)、『Jアラートとは何か』(同、2018年)、『日本を潰すアベ政治』(同、2019年)、『自動運転の幻想』(同、2019年)『原発避難はできるか』『新型コロナ禍の交通』(同、2020年)など。



■内容構成
はしがき
1.クルマ社会は何をもたらしたか
 車は人間を解放したか
 「クルマ強制社会」の形成
 歩かなくなった人々
 公共交通の縮小
 災害と車〜被害を拡大する車社会 
 格差・分断を助長するクルマ社会
2.社会的費用半世紀
 社会的費用半世紀
 宇沢の「自動車の社会的費用」論
 宇沢以後の主な指標の推移
 環境規制の経緯
 排気ガス規制と大気環境
 燃料規制
 騒音規制
 自動車は汚染のデパート
 運転免許保有状況の変化
 「若者の車ばなれ」
3.住み方・動き方
 人と貨物の動き方
 自動車はどのように使われているか
 都市の構造と人の動き
 街を変えた車社会
 「停まる凶器」
4.道路に関する動き
 道路政策の経緯
 道路整備の効果
 道路財源の推移
 負担と受益
 道路事業決定過程の不透明性
 道路財源縮小の時代
 自動車・道路裁判
5.終わらぬ「交通戦争」
 交通事故の推移
 日本の交通事故の特徴
 交通事故は構造的な問題
 事故データの公開
 過剰なパワーが事故の背景
 悪質ドライバーに対する対策
 飲酒・薬物の影響
 コロナ禍でも減らない重大事故
 車より軽い人命
 生命の経済的価値
6.現代の社会的費用論
 社会的費用論
 内部化に関する論点
 社会的費用の現代的意義
 社会的共通資本を守る
 分野ごとの考え方と事例
 大気汚染
 気候変動
 騒音
 交通事故
 道路インフラ費用
 渋滞(混雑)
 駐車
 全体的なまとめ
7.技術は社会的費用を解決しない
 先進技術の幻想
 自動運転の幻想
 自動運転の概要
 自動運転は「低速」と「物流」で
 「エコカー」は負の外部性を解消するか
 EVは「走る原発」
 EVのネットワーク利用は可能か
 FCVも「走る原発」
 補助金漬けのエコカー
 EVの社会的費用は高い
 MaaS(マーズ)は車社会を変えるか
8.ポストコロナのクルマ社会
 新型コロナとクルマ社会
 「新しい生活様式」は持続的でない
 クルマへのシフトの動き
 自動車か、移動の自由か
 高速道路はSDGsか
 自動車走行量の減少
 これからの国土利用のあり方
 「クルマノミクス」からの脱却
 「ドウロノミクス」からの脱却
 「低速交通」の重視
 外国の交通政策との比較
9.物流をどうするか
 誰がトラックを走らせているか
 インターネットは「物質転送機」ではない
 トラックドライバーの実態
 鉄道貨物の活用は可能か
 鉄道貨物の縮小経緯
 社会的費用のケーススタディ
 トラックドライバーの不足
10.公共交通と社会的共通資本
 車がいらない社会をめざして
 公共交通は格差緩和のシステム
 地域の持続性と交通
 道路を、取り戻す
 交通機関とエネルギー
 鉄道の位置づけの転換
 社会的に必要なサービスレベル
おわりに〜カローラが発売されたころ

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