●公共事業と環境破壊


“緑のダム”の保続
日本の森林を憂う

藤原信著
四六判上製 232頁 2200円
ISBN978-4-8461-0906-6 C0036  
 日本の森林は荒廃の一途を辿っている。原因は、森林の「保続原則」を軽視し、収益性、経済性を追い求めた林野庁の行政にある。そして、それに歯止めをかけられなかった林学研究者にもまた、責任がある。  森林は、治水面、利水面で“緑のダム”として、我々に不可欠なものである。このまま森林の荒廃を放置すれば、数十年後には、取り返しのつかない事態になるだろう。森林の公益的機能を再認識し、森林を保続するため、今こそ、ヒトとカネを注ぎ込まなければならない。 (2009.6)

[内容構成]
はじめに

第1部 日本の森林を憂う
 第1章 戦後の森林・林業政策
  戦後の造林の流れ
  拡大造林のはじまり
  密植短伐期林業への誘導
  森林開発公団の顛末
  分収造林の失敗
  林業公社も大赤字
  世論に迎合した大増伐
  木材価格の下落と林業不振
  変動為替相場制への移行
  憂うべき森林の荒廃

 第2章 戦後の国有林の変遷
  1 国有林野事業特別会計
   「技官長官」と「特別会計」
   恒常在高法を基礎とする蓄積経理
   恒常在高法についての疑問
   蓄積経理方式の見直し
   サラ金地獄への転落
   累積債務の肩代り
   最近一〇年間の実績
   国有林への挽歌

 2 国有林野経営規程
   国有林野経営規程の制定
   三三年経営規程の改正
   生産力増強計画と木材増産計画
   四四年規程の改正
   国有林施業の実態
   国有林における新たな森林施業
   新たな森林施業の実態
   亜高山帯での森林施業
   平成三年規程の改正
   経営規程の法律化

 3 迷走する国有林
   森林開発の顕在化
   国有林破滅への第一歩
   分収育林と緑のオーナー制度
   リゾート法とヒューマン・グリーン・プラン    ヒューマン・グリーン・プランの一事例

 4 国有林再生への提言
   破綻する国有林
   国有林再生への提言
   環境庁の環境省への格上げ
   再び提言する
   国有林野事業の抜本的改革に向けて
   木材生産重視から公益的機能重視への転換
   行革推進法による大改悪
   国有林解体に反対する
   国有林を環境省の所管に

 第3章 森林経理学論争
  1 森林経理学について
   森林経理学の指導原則
   法正林は森林経理学の理論的支柱

  2 森林経理学批判と反論
   計画的な国有林伐採
   森林経理学論争の発端
   森林経理学に別れを告げて
   森林経理学者の反論
   国有林崩壊への途


第2部 “緑のダム”の保続
 第1章 森林は公益財〜公益的機能の評価〜.
  森林の公益性評価
  公益的機能の定量化
  林野庁による評価
  日本学術会議による評価
  日本学術会議のあり方について
  森林の水源涵養機能
  「答申」に対する森林水文学研究者からの反論
  森林と渇水との関係
  三菱総研による評価
 第2章 “緑のダム”について〜水源涵養機能の評価
  緑のダムの機能
  森林の蒸発散は?陸域の海?
  水源涵養機能の定量化の方法
  長野県の「森林と水プロジェクト」
  森林総研による水源涵養機能の評価
  日本の森林理水の流れ/?緑のダム?の役割
 第3章 利根川の治水〜カサリン台風の場合〜
  戦中の乱伐による利根川水害
  八ツ場ダム
 第4章 奥利根上流地域の森林〜過去・現在・未来〜
  一 奥利根上流地域の国有林
   奥利根上流地域の国有林の概要
   奥利根地域の国有林施業の沿革
   戦後の国有林施業
   第二次計画書の「林況概況」
   第三次計画書の「林況概況」
   第四次計画書の「林況概況」
   第五次計画書の「林況概況」

  二 群馬県の森林・林業 〜奥利根上流域を中心に〜
   奥利根上流地域の国有林の現況
   群馬県の森林の貯水能力
   奥利根上流の森林の貯水能力

  三 赤谷プロジェクト
   地域住民による国有林の保全
   国有林再生への将来像

 第5章 “緑のダム”かコンクリートのダムか
  コンクリートダムによる環境破壊
  脱ダムの動き
  コンクリートにも寿命がある
  アルカリ骨材反応によるコンクリートの劣化   ダム建設の技術者に化学の知識を
  ダム撤去の問題に直面する

おわりに

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